へんてこ - にょたろう虫の冒険

へんてこ


アリキメデスが草むらの前の交通量調査をしていた時のことです。
パイプ椅子


突然、ちかくの茂みからキツネが顔を出しました。

まだこどものキツネのようです。

なんじゃおぬし



たまげているアリキメデスに、子ぎつねは言いました。

「俺はつねきちだよ」

子ぎつねはそう言うと、目の前の歩道をじっと見つめています。

「あっちの地面は真っ黒で、葉っぱも生えてないんだね」

つねきちは生まれて初めて道路というものを見て驚いている様子です。アリキメデスは気を取り直して話しかけました。

「おぬし、つねきちは、にんげん、というものを知っているか」

「うん。母ちゃんにきいたことある」

唖然



「ここから先はにんげんがつくった世界じゃ。その地面はどうろと言って、自分たちや『じどうしゃ』が通りやすくするために、にんげんがつくったものなんじゃよ」

「『じどうしゃ』ってなに?」

「いま目の前を通り過ぎて行った、あの大きな箱のことじゃ。にんげんの乗り物じゃよ」

「向こうにあるおっきなへんてこな山は何?」

「あれはにんげんの巣じゃ。大きさも形もいろいろあるが、あんなものを数えきれないくらい、にんげんはつくっとるんじゃよ」

まちなみ



「すごいや。アリさんはなんで、そんなにいろんなことを知ってんの?」

「わしらアリの巣にはな、食べ物をためておく部屋があるのと同じように、知識をためておく『学問の部屋』があるのじゃ。わしはそこでいっぱい勉強したのじゃよ。そして今は外の世界について研究しておるのじゃ」

知識のへや



「じゃ、じゃあさ」つねきちは勢い込んで言いました。「父ちゃんがどこに行ったかもしってる?」

「父ちゃん…?」

「うん。俺の父ちゃん、エサをとりに出かけたきりずっと帰ってこないんだ。だから俺、今日探しに来たんだよ。母ちゃんとねえちゃんにはやめろって言われたんだけど」

とうちゃん



アリキメデスは考えました。子育て中の親ぎつねが戻らないというのはただごとではありません。また、森の生き物であるキツネが遠出して、仮に人間の世界に迷い込んだとしたら、いいことがあろうはずがないのです。

アリキメデスはつねきちを気の毒に思いました。

「つねきちは父ちゃんが好きか」

「うん。ネズミのとりかたとか、教えてくれたからね」

「そうか…。実はな、つねきちの父ちゃんは、父ちゃんにしかできない大事な用事があって、とても遠いところに行ったんじゃよ」

「アリさん、父ちゃんのこと知ってるの?」

「うむ。とても遠いところじゃから、すぐには戻って来られんかもしれん。しかしその間、つねきちが母ちゃんのいう事をきいて、立派なキツネになるようにがんばってほしいと、言うとった」

「ほんとに!」

うむむ



「ああ、ほんとじゃよ。

しかしもうひとつ言うとった。それはな、この草むらより向こうには、けっして行ってくれるなということじゃ。

よいか、この先にあるにんげんの世界は、われわれのような生き物が生きていくのはとても難しい、へんてこなところじゃ。この辺りまで遊びに来るのはいいが、つねきちは、この先にはけっして行ってはならんぞ」

自動車



「さて、そろそろ帰らんと母ちゃんが心配しておるだろう。そのへんまで送ろう」

アリキメデスはそう言うと、林にむかって歩き出しました。

お空はもうすっかり夕焼けです。


おしまい

ゆうぐれ


コメント

コメント(0)
コメント投稿
非公開コメント

月別アーカイブ

にょたろう虫ラインスタンプ販売中

にょたろう虫となかまたちがラインスタンプになりました。

ラインストアのページ
(英語版)

プロフィール

まきペチカ

Author:まきペチカ
にょたろう虫は、ふしぎないきものです。
にんげんみたいにお顔がある、ちいさなイモムシです。いたずらが好きで、すこし自分勝手です。
でもいろんなおともだちといっしょに、草むらでげんきにくらしています。
さてさて、今日はどんなことがおこるのでしょうか…

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR